楊澄の中国事情あれこれ

- 第12回 -
中国でおいしい西瓜が食べたい

 いつも日本のテレビで日本の農村風景が映され、その大自然の風景が非常に印象的でした。先月やっと日本農村の訪問チャンスに恵まれて、友人Mさんの車に乗って茨城へ足を運びました。Mさんのおかげで、私にとって心の旅とも言えるぐらいすばらしい出張でした。

 目の辺りに映ってきたのはこじんまりとした田圃、延々とした丘、S字に連なっている山道、近代化に恵まれた農作機械でした。そして、懐かしいのは土の匂いと情熱あふれた農家の皆様方です。ずっとコンクリートの森に暮らし、仕事をしている私にとって、心の解放感を感じると同時に、思わず中国の農村のことを思い浮かべました。

 恐らく中国も日本と同じように、農村では若者の数がどんどん減ってきています。ある意味では耕地の放置問題や耕地の分散作業問題が深刻になりつつある中国では、耕地の集約化、規模的耕作が課題となります。一方では、「毒」米、「毒」餃子事件のように、食の安全の前にある耕作の安全を最優先に考慮すべきではないかと思います。そこには、また社会的問題、つまり農民収入向上の課題があります。

 中国出張経験のある日本人の方なら分かると思いますが、今中国のレストランでは最後の口直しの1品デザートはほぼ100%西瓜です。しかも一年中食卓に出してくれます。しかし、その80%以上の西瓜は日本の西瓜ほど甘くないと思います。ちなみにですが、日本人は塩で甘さを補うのに対し、中国人は大体砂糖をつけて甘みを出そうとしています。

 それでは、直接日本の西瓜を中国に輸出すればよろしいのではないかと思われる方がいらっしゃるかと思います。実は中国向けの農産品輸出は色々と制限が設けられているようです。今のところ、お米、緑茶、りんごは輸出可能となりましたが、その他の果物についてはまだ完全に解禁されていません。また、解禁されたといっても中国での販売価格は一般庶民には受け入れられない格段に高い値段設定となっています。

 当然高収入層を狙えばいいという考え方があると思います。高価格でも買ってしまう中国の方が確かにいます。しかし、同時に一般庶民を狙って中国市場価格とそれほど乖離しない値段設定を実現できる方法を考えてみてはいかがでしょうか。例えば日本の農業技術・ノウハウを中国大地で種を播き、中国地元の農家、地元の農業企業と協業してみたらいかがでしょうか。それを通じて日本人の方々のまじめさ、規則正しさを理解してもらい、付加価値のある安心安全な農産品を提供してもらい、中国農家の貧困脱却につながっていけたらと思います。

 日本の大手企業は恐らく既に着手しているかと思いますが、今回出張のように私の目に映っている情熱あふれる日本人農家の皆様を組織するようなビジネスモデルがあればと考える今日この頃です。

(2011年4月 株式会社ソフテック 楊)

楊 澄(よう ちょう)

1975年生まれ。中国江蘇省南京出身。

学歴 1997年7月 中国北京外国語大学日本語学部(経済貿易コース)卒業
2002年9月 中国対外経済貿易大学 WTO関係国際経済貿易学専攻  修士課程入学
職歴 1997年7月 中国対外貿易経済合作省(商務部)入省
アジア局・国際経済貿易関係局・南京特派員事務所 係長・課長補佐候補歴任
(中日間の投資・貿易等マクロ的政策の策定、経済貿易関係の窓口、江蘇省地域及び上海周辺の企業対外貿易促進、地方政府との政策調整)
2005年6月 商務部退職、南京澄智創意科技有限公司(南京ソフテック)設立 代表取締役
2006年2月 日本システムシンクグループ参画 マネージャー、取締役(アウトソーシング業務、海外コンサルティング業務担当)
2008年4月 株式会社ソフテック設立  代表取締役

株式会社ソフテック
http://www.softech-inc.co.jp/corporate-info.html