- 第7回 -
日本古来の知恵を活かせ
今年の冬も睡眠時には湯たんぽのお世話になっている。以前は電気毛布や電気アンカを使っていたが、これらに比べて湯たんぽの場合はほんわかとしたやわらかい暖かさを感じる。湯たんぽの売れ行きは昨年同様今年も好調のようだ。やはり暖房費を少しでも節約したいという消費者ニーズが追い風になっているのだろう。僅かだが電力使用量が減り、温暖化対策にもなる。最近は金属製に加えてポリエチレン製、ゴム製などがある。湯たんぽカバーも多種多様で若い女性に人気だという。
この冬、燃料や電気を使わない発泡スチロールの特性を活かしたエコ足温器「ペチカ」を購入した。女性を中心に売れているという。製造しているのは兵庫県たつの市にある龍野コルク工業である。使用者自身の体温を熱源とし、口の開いたクッションに足を入れると、底部のウレタンスポンジの保温性に加えて中に詰め込まれた発泡スチロールの微細粒がやさしく保温してくれる。やわらかい感触に自然なぬくもりはなんとも気持ちがいい。夜の事務仕事にはもってこいである。
さて次はどんなものが流行るのだろうか。昔を振り返ると家には火鉢や七輪があった。炭や練炭をいこして暖をとったり、お餅を焼いたり、お湯を沸かしたりしていた。家族団らんの懐かしい思い出が蘇る。換気を良くして一酸化炭素中毒に注意する必要があるが、こちらも節約と温暖化対策になる。火鉢や七輪が復活する日も近いかもしれない。
バイオ燃料は燃やしても植物が吸収したCO2を吐き出すだけなのでCO2を増やさない。カーボンニュートラルと言われるゆえんである。炭の場合は植物が吸収したCO2を固形化して閉じ込めるのでカーボンマイナスとなる。バイオ燃料以上に温暖化対策になる。炭の使い道は実に多彩である。酸性になった土壌を中和するため土壌改良材として使える。炭焼きと同時に採取できる木酢液を農薬替わりに使うこともできる。床下に撒けば防湿、防虫になる。お風呂や下駄箱の消臭剤としても使える。水道水に入れれば塩素を始め、発がん性のあるトリハロメタンも吸着してくれる。炭から出るミネラルでお米はふっくらと炊き上がる。東大阪市にある板金加工業を営むテサキ製作所は、コンパクトな炭焼き機を作った。内側は鉄板だが外側はレンガで出来ている。ノスタルジーを感じる作りである。燃料に化石燃料は使わない。薪をくべて燃料にする。マスコミに取り上げられたこともあり、クチコミで広がり今では売上の2割を占めるまでになった。本当に都心で使えるようにと匂いが出ないように改良中だという。炭文化を広げることが地球を救うことになると社長は言う。
環境問題を意識する人々が増えてくるにつれて、昔生活の中で活躍していたモノが見直されつつある。昔のモノをそのまま復活させるのではなく、新たな視点で改良を加え、新たな価値を加える。そんなビジネスが成功するのだと思う。まだエネルギー使用量の少なかった時代の生活を振り返り、日本古来の知恵を活かすことは、環境ビジネスの新たなヒントを与えてくれる。
高野 淨(たかの きよし)
27年間、電気メーカーの情報システム部門に勤務。技術、生産、販売、環境分野の経営改革推進や情報システム構築を経験。経営コンサルタントとして開業後は、持続可能な社会の実現に貢献することを経営理念として、製造業の事業戦略立案、業務プロセス改革、環境経営の推進、IT活用などの支援を中心にコンサルティングやセミナー講師等を行っている。中小企業診断士、ITコーディネータ、環境プランナーER。
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